2008年11月29日土曜日

◆スピードガンは登録商標です。

スピードガン

テレビで野球中継を見ていると、
ピッチャーがバッターにボールを投げたときに球速が表示されます。

あれはご存知の通り、
スピードガンを使って球速を測っています。

プロ野球の球場では、
備え付けられているスピードガンで測定していますが、
よく高校野球の地区予選でプロ球団のスカウトが携帯用のスピードガンで

球速を測っていることもありますね。

しかし、
スピードガンってそういう使い方しかできないものなのでしょうか。





スピードガンは登録商標

スピードガンとは、
スピードを測定する機械のことですが、
実はスピードガンという言葉はアメリカの

ディケイター・エレクトロニクス社の登録商標です。

登録商標というのは簡単に言うと、
スピードを測定する機械が他の会社から発売されても、
スピードガンという言葉は使えないということです。

スピードガンというとそれはディケイター・エレクトロニクス社が

販売しているスピード測定器を表すことになってしまいます。

よくイベントなどでも行われるスピードガンコンテストというのも、
本来のスピードガンを使ってやっていれば別にいいのですが、
他社製のスピード測定器を使っていた場合は実はまずいのです。

「ファミコン大会」と銘打っておきながら、
PSでゲーム大会するようなものです。

しかし、
商売する人たちならともかく、
我々一般人にとっては直感的にわかるほうがいいですし、
使い慣れている言葉でもありますから、
スピード測定器のことをスピードガンと言ってしまってもいいでしょう。


スピードガンの原理

スピードガンとは、
動いている対象物の速度を測るものですが、
実際にはどのように速度を測定しているのでしょうか。

これはドップラー効果の原理を使っています。

ドップラー効果というのは、
身近な例で言えば、
救急車の音です。

救急車がサイレンを鳴らして走っているとき、
自分に向かってきている時と自分から遠ざかっている時とは

音の高さが違いますよね。

この原理を応用して速度を測定するわけです。

といっても、
対象物が音を発生していなければ音で判断することはできませんし、
野球のボールなどから音が出ているわけでもありません。

そこで、
音と同じ性質を持っている電磁波を使って測定します。

ボールに向かって電磁波を照射し、
そこから反射されてくる電磁波を測定して、
球速を計算で出しているのです。


スピードガンの誤差

スピードガンは、
照射した電磁波と反射してきた電磁波の測定値を比較し、
計算で速度を測っていますから、
スピードガンで想定している正確な測定をしなければ、
その測定速度には誤差がでます。

ほとんどのスピードガンは、
球がスピードガンに向かってまっすぐ飛んでくるものを

測定するようになっていますから、
野球のピッチャーの球速を測定する場合は、
マウンドに向かって真正面から測定しなければなりません。

しかし、
真正面から測定しようとしても、
ボールとスピードガンの間にはキャッチャーもいますし審判もいますから、
これらが障害物となって速度を測定することができません。

そこでボールとスピードガンの間に障害物が入らないように多少斜めに

ずらした場所からスピードガンで速度を測定しているのが普通です。

そのスピードガンの設置位置や使用しているスピードガンメーカーの違いによって、
測定結果に差が出てきます。

同じピッチャーが球を投げても、
球場によって球速が変わってしまうのはそのためです。

横浜のクルーン投手が160km以上の球を投げたと測定されても、
本当に160km出ているのかどうかは微妙なところです(速いのは確かですけど)。

この球場による誤差の問題は昔から野球ファンの間で論争になっていますが、
未だにわからないことが多く、
何を言っても推測の域を出ません。

最近は計算性能も向上しており、
測定技術も向上しているのですから、
より正確に近い測定をすることはどこでも十分可能だと思うのですが・・・。


スピードガンの応用

スピードガンの原理を考えれば、
同様の機能を持たせることにより、
他の速度の測定をすることが可能であることがわかります。

実際に、
我々の身近なところでスピードガンの原理が応用されています。

その中でも有名なのはオービスでしょう。

あの、
スピード違反を取り締まっている自動速度測定器です。

ちなみに、
このオービスという名称もスピードガンと同じくアメリカの

ボーイング社の登録商標です。



オービスから照射される電磁波の反射から自動車の速度を測定し、
一定以上の速度になったら反応して写真を撮るというものですが、
設置してある場所がわかってしまうと、
取締りとしての効果は薄くなり、
違反防止のために設置してあるといってもいい状態です。



また、
誤作動の問題もありますし、
電磁波測定器(レーダー)を自動車側が取り付けていると

事前にオービスを確認することが可能なため、
現在の道路における自動車のスピード測定方法も

このやり方ではなくなってきているようです。